早期退職

そこそこの出世コースに乗っていると「早期退職」に応募できない/半沢直樹、花の感動的な台詞

  • 出世コースに乗っていないから、早期退職の権利が行使できる

「コカ・コーラBJHが早期退職900人実施」「ANA、希望退職者を募集」の記事が新聞にあがっていた。

早期退職に応募するとは、すなわち会社の出世コースにドロップしたことを公開するようなものだ。退職金が上増しされるとか、辞めてやりたかったビジネスや社会貢献を始めるとかポジティブな考えはあるが、当事者こそ〝負け犬”の負い目を感じていることは否定できない。

男性社員のほとんどは、出世欲の塊だ。給料のUPというよりも、会社で、社会で評価されたいと願っている。評価の基準で、賃金や労いの言葉ではなく、ポストに就くことを求めて生きている。男というのはそんなつまらない生き物だ。

そんな野獣ばかりの出世レースの中で、早期退職するのだから、それは即ち出世レースに、「俺下りたもんね。」と宣言することに他ならない。

けれど、早期退職する人は、「退職して、出世レースに下りた」のではなく、「在職時に、俺は出世コースに乗っていないと感じたから、早期退職に応募した」というケースが多いはずだ。

あなたはラッキーなことに、出世コースに乗っていない。だからこそ、この制度に応募できるのである。

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勝負は、50歳からの生き方です。

50歳からの生き方で、60歳からの生き方が決まります。

50歳を過ぎると、変化が苦手です。

変化をせざるをえない状況にもかかわらず、変化が一番苦手なのです。

20歳で会社に入った人は、すでに30年たっています。

その間、変化がないので、変化という状況に不慣れなのは、仕方ないことです。

そこそこうまくいっている人が一番変化に抵抗するのです。

(中谷彰宏著「定年前に生まれ変わろう 50代からしておきたいこと」 まえがきより)

 

  • 早期退職に負い目を感じる必要はない

ドラマ「半沢直樹」の最終回で、サラリーマンなら泣いてしまう感動的なクダリがあった。

花:「何かあった?」

半沢:「うん……」

花:「また出向……的な?」

半沢:「出向どころじゃすまないかもしれない。ごめん」

花:「うーん、そっかぁ……。だったら、いっそのこと辞めちゃえば? 銀行員だけが仕事じゃない。そりゃあ再就職なんて簡単にはできないかもしれないけど、その間、私が稼ぐから! どう?」「何があったか知らないけどさぁ、もう頑張らなくていいよ。直樹は今まで十分すぎるぐらい頑張った。いっつもいろんなもの抱えて、ボロボロになるまで戦って。必死に尽くしてきた銀行に、それでもお前なんかいらないっていわれるなら、こっちから辞表をたたきつけてやんなさいよー!」

半沢:「辞表かぁー……」

花:「サラリーマンの最後の武器でしょう?直樹。今までよく頑張ったね、ありがとう、おつかれさま」

 

こんな風に旦那に完璧に寄り添い、応援してくれる妻はいないと思うが、「辞表」がサラリーマンの最後の武器だというのは、ある意味正しい。

異動願い、どんな仕事をしたい、誰と一緒に仕事をしたい、という希望を出すことはできるが、その決定権は一介のサラリーマンにはない。辞表というのは、最後の、そして唯一の武器なのではないだろうか。

でも、辞表は企業と従業員の離婚届けなので、それこそネガティブなイメージがあるものだけれど、早期退職は違う。会社から「こういう制度を始めるんで、応募しませんか?」と掲示板にUPされたものに、応募したのだから、最初の働きかけが企業発だという時点で、応募者(従業員)に後ろめたい気持ちを持つ必要がない。

人員削減のリストラと思わせないために、早期退職を募る企業のほとんどは、対象者に応募を迫ることはしないはずだ。

  • 迷った時点ですでにあなたの心は決まっている

無事に私の早期退職が受理され、12月末での退社が決定したことで上司に、制度に応募していた事実を報告した。2人の上司に報告したが、そのどちらもが今回のこの制度がどういうものであるのかを理解していなかった。

社がこの制度の発表を社員に連絡したことは分かっていたが、複数回あった説明会に参加もしていないし、その説明資料をどうやら読んでいない。軽く目を通した程度と思われる。

その理由は想像できる。

自身がこの早期退職に応募するつもりはないので、いかにも興味があるように、(後に、興味があったように)思われるのを嫌って、説明会に参加しなかったのであろう。

説明会といっても、コロナで在宅リモートワークが普通の働き方だったので、その説明会は、WEB会議で行われた。そこにアクセスしたというログを残したくなかったのであろう。この考えはサラリーマンにとって自然なことだし、理解もできる。

つまり、辞める気持ちはハナからない社員は、悩んだりしないし、どういう制度なのか調べようともしない。

 

応募しようかどうかを検討して、説明会に参加し、資料を読み込んだ時点で、すでにあなたの心は決まっている。